2011年6月13日月曜日

フィラリア駆虫薬の種類と副作用

フィラリア駆虫薬とその製品名、主成分、製造、販売会社とその副作用について調べてみました。

●ミルベマイシン 主成分 ミルベマイシン オキシム
犬回虫(いぬかいちゅう)、犬鈎虫(いぬこうちゅう)の駆除、及び犬糸状虫の予防
(月一度服用)

犬回虫(いぬかいちゅう)
犬回虫は宿主の腸に寄生する。成犬では通常は寄生していても無症状であるが対照的に幼犬には大きな障害を与え、死亡することもある。成犬の体内では成虫になることはできず、生後5ヶ月以内の仔犬の体内でのみ成虫になれるという不思議な特徴をもつ。雌犬の筋肉中に幼虫が存在しており、妊娠中に何らかのキッカケで仔犬へ幼虫が移行し、仔犬の体内で幼虫が成虫になる。仔犬の腸の中で成虫になった犬回虫が卵を産み、その卵を成犬や他の動物が摂取することで感染が広まる。

犬鈎虫(いぬこうちゅう)
十二指腸粘膜にくいつき盛んに吸血します。メスは1日に数千個の卵を産み糞便とともに排出しますが、通常1日ぐらいで子虫となり皮膚から浸入(感染)します。また胎盤感染や経口感染もします。子犬に鉤虫がいると元気がなくなり痩せて下痢をします。貧血がひどくなると口腔や眼の粘膜が白く血の気がなくなり、衰弱死することもあります。また土や砂、小石を食べたり木をかじったりする異嗜が目立つこともあります。

成犬では子犬ほど症状はひどくありませんが、下痢をしやすい犬の中には鉤虫が原因のことがよくあります。


ノバルティス アニマルヘルス株式会社

・ミルベマイシンA錠、A顆粒

特徴
犬糸状虫症の予防、犬回虫および犬鉤虫の駆除、犬鞭虫の駆除
1ヶ月1回の経口投与により、犬糸状虫症を予防し、犬消化管内線虫に対しても強い駆虫作用を有する。
副作用情報データーベースより
http://www.nval.go.jp/asp/se_search.asp
1 H19/10/5 ミルベマイシンA顆粒  死亡
2 H19/8/20 ミルベマイシンA錠2.5 死亡
3 H18/6/30 ミルベマイシンA錠10  死亡

・システック  有効成分 ミルベマイシン オキシム、ルフェヌロン

特徴
犬糸状虫症の予防、吸血ノミ産下卵の孵化阻害並びにノミ幼虫脱皮阻害、犬回虫および犬鉤虫の駆除、犬鞭虫の駆除。1ヶ月1回の経口投与により、犬糸状虫症を予防し、吸血ノミ産下卵の孵化阻害並びにノミ幼虫脱皮阻害、また、犬消化管内線虫に対しても強い駆虫作用を有する。
副作用情報データーベースより
http://www.nval.go.jp/asp/se_search.asp
H16/8/11 システックM  回復

副作用についてノバルティス アニマルヘルス株式会社HPより
http://vet.novartis.jp/m_product/pro_pdf/milbemycinA-tab.pdf


フジタ製薬株式会社

・ミルベマイシン錠1.25、2.5、5及び10

特徴
国産牛肉など嗜好性よい原材料を使用した犬用チュアブル錠タイプの駆除剤
犬糸状虫症の予防
犬回虫及び犬鉤虫の駆除
犬鞭虫の駆除
副作用情報データーベースでの副作用情報なし


注意
•ミルベマイシンオキシムの試験において、コリー犬及びその系統の犬種は他の犬種に比べ、安全域が狭いことが示されていることから、これらの犬種に対しては、用法・用量を厳密に守ること。
•本剤は離乳前の子犬には投与しないこと。


<イベルメクチン>

メリアル

・カルドメック   主成分 イベルメクチン

特徴
カルドメック® 錠は、日本で初めて月 1回投与の犬フィラリア症(犬糸状虫症)予防薬として承認・発売された薬です。必要な期間、月1回投与することで、犬フィラリア症を予防することができます。
臨床実験と副作用の報告(メリアルより抜粋)
http://merialvetclub.jp/media/pdf/products/cardomec_tablets.pdf

・カルドメックチュアブルP

特徴
カルドメック® チュアブルPは、カルドメック® 錠を与えやすいチュアブルタイプ(フードタイプ)の薬にしたもの。
薬の投与が苦手な犬や飼い主の方でも、ストレスを感じることなく投与することができます。
月1回投与することで、犬フィラリア症(犬糸状虫症)を予防すると同時に、お腹の虫(回虫や鉤虫)を駆除することができます。(メリアルより抜粋)
http://merialvetclub.jp/media/pdf/products/cardomec_p.pdf

副作用情報データーベースより
http://www.nval.go.jp/asp/se_search.asp
1 H20/12/18 カルドメック チュアブル P68  回復
2 H19/9/10 カルドメック チュアブル P34  死亡
3 H18/9/6 カルドメック チュアブル P68  死亡
4 H18/9/1 カルドメック チュアブル P34  死亡


フジタ製薬株式会社

・イベルメックPI-34、-68、-136及び-272 主成分 イベルメクチン パモ酸ピランテル

特徴
チュアブルタイプ(フードタイプ)で与えやすくしている。
犬糸状虫の寄生予防、犬回虫及び犬鉤虫の駆除。
副作用情報データーベースより
http://www.nval.go.jp/asp/se_search.asp
1 H21/11/13 イベルメックDSP-34  死亡
2 H21/9/16 イベルメックDSP-34   死亡
3 H20/7/11 イベルメックPI-34    死亡


 Meiji Seika ファルマ株式会社

パナメクチンチュアブル   イベルメクチン パモ酸ピランテル

特徴
パナメクチンチュアブルPは毎月一回の与で犬フィラリア症を予防するとともに、消化管内の寄生虫(犬回虫・犬鉤虫)を駆除する。

パナメクチン錠   イベルメクチン(犬糸状虫の寄生予防)

特徴
パナメクチン錠Sは毎月1回の投与で犬フィラリア症の予防ができるお薬。
錠剤が小さく、薬が苦手な犬にも投与が簡単。犬の体重に合わせて4種類の製剤から選ぶことができます。パナメクチン錠Sは離乳後の子犬から投与することができます。
注意 チュアブルタイプと錠剤とで期待される効果が変わっています。
副作用情報データーベースより

http://www.nval.go.jp/asp/se_search.asp
1 H22/5/7 パナメクチンチュアブルP68 回復






バイエル薬品株式会社

アドバンテージ ハート1mL中にイミダクロプリド100.0mgとイベルメクチン0.8mgを含有

特徴
スポットタイプなので、飼い主さんや愛犬に負担をかけず投与することができます。
その効果は錠剤タイプと変わりません。
毎月1回、スポット投与するだけ。浸透・循環・拡散で、有効成分が全身のすみずみまで広がる、スポットタイプの犬用フィラリア症予防薬+ノミ駆除剤です。
皮膚からすばやく吸収され、血中に入り、すぐれたフィラリア症予防効果を発揮するイベルメクチン。全身の皮膚に広がりノミの吸血をすばやく阻止・すぐれた駆除効果を発揮するイミダクロプリド。アドバンテージ ハートに含まれる2つの成分が、目的に応じて有効に作用します。
投与4時間後の水浴でも、すぐれたフィラリア症予防効果を発揮します。
 6週齢以上の子犬でも使用可

副作用情報データーベースより
http://www.nval.go.jp/asp/se_search.asp
H18/7/18  アドバンテージ ハート 不明
H15/7/11  アドバンテージ ハート 死亡
H15/7/11  アドバンテージ ハート 回復


ファイザー製薬


レボリューション12% 主成分 セラメクチン イベルメクチン


特徴
・犬糸状虫の寄生予防、ノミ成虫の駆除、ノミ卵の孵化阻害及び殺幼虫作用によるノミ寄生予防、
ミミヒゼンダニの駆除
・主成分セラメクチンは、単独で犬のフィラリアの寄生予防、ノミ成虫の駆除および寄生予防、ミミヒゼンダニの駆除に効果を発揮。
・滴下式で速乾性。皮膚から速やかに吸収され、2時間後のシャンプーは有効性に影響しない。
・生後6週齢の子犬、妊娠・授乳中の犬、フィラリア寄生犬、イベルメクチン感受性コリー犬などの各種試験で安全性が確認されている。

とありますが・・・
アメリカでは早くからセラメクチン副作用による犬の死亡例も報告されています(2001年6月~2004年9月)
副作用情報データベースより
http://www.nval.go.jp/asp/se_search.asp
平成18年から22年の9月までに6件の報告があり(すべて猫)すべて死亡

・注意
コリー犬及びその系統の犬種に対し、イベルメクチンが神経毒性を示すおそれがあるという報告があることから、コリー犬及びその系統の犬種に投与する際は慎重投与すること。


<モキシデクチン >

ファイザー製薬


モキシデック錠 7.5/15/30/60/136 主成分 モキシデクチン

特徴
犬糸状虫の寄生予防
イベルメクチン感受性犬への安全性が確認されています

副作用情報データーベースより
http://www.nval.go.jp/asp/se_search.asp
1 H18/9/4 モキシデック錠 60 治療中
2 H18/6/7 モキシデック錠 60 死亡
3 H17/12/9 モキシデック錠 15 死亡

注射用モキシデックSR 主成分 モキシデクチン

特徴
犬糸状虫の寄生予防
1回の注射で寄生予防効果が6ヶ月持続

副作用情報データーベースより
http://www.nval.go.jp/asp/se_search.asp

すべて死亡
1 H22/7/16 注射用モキシデックSR
2 H21/7/31 注射用モキシデックSR
3 H18/6/21 注射用モキシデックSR
4 H17/7/20 注射用モキシデックSR
5 H16/6/17 注射用モキシデックSR
6 H16/5/31 注射用モキシデックSR
7 H14/8/21 注射用モキシデックSR
8 H14/6/19 注射用モキシデックSR
9 H14/5/30 注射用モキシデックSR
10 H14/5/30 注射用モキシデックSR
11 H14/5/20 注射用モキシデックSR
12 H14/5/1 注射用モキシデックSR





犬鈎虫の駆除、及び犬糸状虫の予防  (月一度服用)
共立製薬株式会社

モキシハートタブKS 7.5/15/30/60/136

特徴
チュアブルタイプのモキシデクチン錠で犬糸状虫の寄生予防
2011年04月01日発売なので過去そして現在の副作用情報データベースでは情報なし


共立製薬株式会社

イミトサイド  メラルソミン二塩酸塩(ヒ素化合物製剤)

特徴
犬の心・肺に寄生する犬糸状虫の駆除(寄生したフィラリア成虫の駆除)

副作用

元気・食欲減退、発熱、発咳、注射局所の疼痛・腫脹、歩様異常を起こすことがある。
ときに呼吸促迫、呼吸困難、下痢、嘔吐、振せん、失神、流涎を起こすことがある。
副作用情報データーベースより
http://www.nval.go.jp/asp/se_search.asp

1 H16/8/4 イミトサイド  死亡
全体から見ると少数なのだろうけれど副作用の実態は不明である。
どのフィラリアのみの駆虫剤、ノミ、ダニ駆虫剤兼用のフィラリアの駆虫剤でもそうだけど
副作用として・・・
食欲不振、嘔吐、発熱、下痢 (軟便)、元気消失、歩様異常、痙攣、流涎及び皮膚アレルギー症状(発赤・そう痒)などの症状が現れる可能性をメーカー側も指摘しています。
また、一部なのでしょうがアレルギー反応又はアナフィラキシー反応(ショック)が起こることがありアナフィラキシー反応を起こし死亡する可能性があることも使用説明書に示唆しています。
なのでどのメーカーのどのタイプのフィラリア駆虫剤でも使用するときは心も体も健康なときに与え、しばらくは様子を観察することが望ましいと思います。また大丈夫だと安心して犬を家に残し外出して帰ってきたら・・・という報告もあるので外出しない日に摂取させることが望ましいと思います。
そして万が一のために与えるときは動物病院が開いている時間帯にしましょう。
ごく一部とはいえ、その一部に入りたい飼い主はいませんからね。
参考

副作用情報データベース

動物用医薬品データベース






















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